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テッタ博士の豆知識

2008年9月5日

連載シリーズ「テッタ博士の豆知識」 今月は「食物アレルギー(1)」です。

 食物アレルギーは、「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象」と定義されます。
今回は食物アレルギーの現状と症状、さらには平成20年6月に改正された表示基準について紹介します。

食物アレルギーの現状
原因となる食品
 食物アレルギーの原因(抗原:アレルゲン)は主に食品中のタンパク質です。アレルゲンを含み、食物アレルギーの原因となりやすい食品としては、鶏卵、牛乳・乳製品、小麦などがよく知られています。

                              (平成14年厚生労働科学研究報告より)
原因食品の特性
 アレルギーの原因となる食品は、年齢により異なり、発現様式にも特徴がありますます。

                           (平成14年厚生労働科学研究報告より)
 鶏卵、牛乳・乳製品は乳幼児のアレルギーの主な原因で、これらは加齢とともに消失する傾向があります(耐性の獲得:適切な診断と治療(自然経過も含む)で食物アレルギーを呈さなくなることを「耐性の獲得」といいます)。
 学童・大人では新しく甲殻類、小麦、果物が原因食品として現れ、これらは耐性が得られにくい食品です。
食物アレルギーの症状
 人により様々な症状が現れます。
皮膚・粘膜症状皮膚症状 : そう痒感、じんましん、血管運動性浮腫、発赤、湿疹

眼症状 : 結膜充血・浮腫、そう痒感、流涙、眼瞼浮腫

口腔咽喉頭症状 : 口腔・口唇・舌の違和感・腫張、喉頭絞扼感、喉頭浮腫、嗄声、喉の痒み・イガイガ感
呼吸器症状上気道症状 : くしゃみ、鼻汁、鼻閉
下気道症状 : 呼吸困難、咳嗽、喘鳴
消化器症状悪心、嘔吐、腹痛、下痢、血便など。
全身性症状(アナフィラキシー)アナフィラキシー : 多臓器のアレルギー症状
アナフィラキシーショック : 頻脈、虚脱状態(ぐったり)・意識障害・血圧低下

食物アレルギーの最も頻度の高い症状は、皮膚症状です。アナフィラキシーショックの現れる頻度は低いですが、全身に起こる最も重度なアレルギー反応です。

                       (平成14年厚生労働科学研究報告より)

小麦、落花生、そばなどはアナフィラキシーショックの発現頻度が高い食品として注意が必要です。

                       (平成14年厚生労働科学研究報告より)

アレルギー物質の表示
 食物アレルギーの症状に関する実態調査などの結果に基づき、食品衛生法関連法令が改正され、平成14年4月以降に製造・加工・輸入された加工食品にアレルギー症状を引き起こす物質を表示する制度が始まりました。この表示の目的は、アレルギー物質に関する情報提示をすることにより、アレルギー症状が起こるのを避けることです。
 表示される食品は、くり返し行われる実態調査などに基づいて見直され、平成16年に、表示が勧められる「特定原材料に準ずるもの」に「バナナ」が、さらに平成20年に「えび」「かに」が「特定原材料」に加わりました。
    

表示規定
区分
名称
理由
必ず表示される品目
(特定原材料)
卵、乳、小麦、えび、かに症例数が多いもの。
そば、落花生症状が重篤であり生命に関わるため、特に留意が必要なもの。
表示が勧められている品目
(特定原材料に準ずるもの)
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご症例数が少なく、特定原材料とするには今後の調査を必要とするもの。
ゼラチン 

        


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食物アレルギーに関する参考資料:
厚生労働科学研究班による 食物アレルギーの診療の手引き2005
http://www.jaanet.org/medical/images/food_alle_2005.pdf

食物アレルギーによるアナフィラキシー 学校対応マニュアル(小・中学校編)(日本学校保健会)
http://www.iscb.net/JSPACI/download/20050414_01.pdf

食物アレルギーを知っておいしく食べよう(日本アレルギー協会)
http://www.jaanet.org/contents/images/syokumotu2004.pdf

アレルギー物質を含む食品に関する表示について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html

☆テッタ博士ってどんな先生?!☆
テッタ博士は岐阜県生まれ。岐阜薬科大学を卒業し、現在は東京薬科大学薬学部の教授をされています。薬学博士であり、主に変異原物質(遺伝子に傷を付ける物質)の研究を行っています。研究や薬学生の教育を行う一方で、小中学生へのくすり教育、薬物乱用防止の授業に取り組んでいます。
このホームページに掲載している教材を開発した先生の一人でもあり、協議会の他、国(行政)や地域、幅広くご活躍されている先生です!




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