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テッタ博士の豆知識

2009年5月8日

連載シリーズ「テッタ博士の豆知識」、今回は、「紫外線」です。

 太陽の光を浴びすぎると、紫外線が肌にダメージを与えたり、皮膚癌など健康に悪い影響を与えたりすることが知られています。太陽光のうち、地表には紫外線(波長290~320nm:UV-B、320~400nm:UV-A)、可視光線(波長400~760nm)、赤外線(波長760nm~)が届いています。


 この中で特に皮膚に有害な影響与えるのが紫外線です。紫外線の地表への照射量は4月から増加し、5月には「強い」ランクに入ります。従って紫外線対策は、暑くなる7、8月だけでは十分ではなく、5月頃から行うことが必要です。
 さらに紫外線はオゾン層破壊といった地球環境問題に関連しており、今後ますます注目されていきます。

紫外線の種類と性質
 紫外線は波長によって、UV-A、UV-B、UV-C(波長290nm以下)に分けられており、波長が短いほどエネルギーが強く、生体に有害な影響を与えることが分かっています。

UV-Cオゾン層で吸収され、地表には到達しない。
UV-Bほとんどはオゾン層で吸収されるが、一部は地表へ到達し、皮膚や眼に有害である。日焼けを起こしたり、皮膚癌の原因になったりします。
UV-AUV-Bほど有害ではないが、皮膚の深いところまで到達し、皮膚の張りをなくし、しわの原因になります。長時間浴びた場合の健康影響が懸念されている。



紫外線による健康影響(功罪)
○紫外線の功
 紫外線(UV-B)は、体内でコレステロールの一種であるコレカルシフェロール (ビタミンD3) をビタミンDに変えて、食物中のカルシウムの吸収効率を高めます。

○紫外線の罪
1)

日焼け:
紫外線に照射により赤くなり、紅斑を形成します。8~24時間でピークになり2~3日で消失します。
日焼けが消失した数日後に現れ、数週間から数ヶ月続く黒い日焼けで、メラニン色素の沈着を伴います(皮膚の黒化)。

2)

白内障 :
紫外線は水晶体が白く濁る白内障の危険因子の一つと考えられています。紫外線量の多い地域に住む人は少ない地域に住む人に比べて白内障の発生頻度が高いという調査結果が報告されています。

3)

皮膚癌:
紫外線は細胞の核内にある遺伝子DNAに損傷を引き起こすことが知られています。この傷害がいくつかの癌遺伝子の活性化、あるいは、いくつかの癌抑制遺伝子の不活化を引き起こし、その結果皮膚の細胞が癌化すると考えられています。
表皮の最下層で出来る基底細胞癌に対し、この紫外線が主要な原因であることが明らかとなってきました。基底細胞癌は、主に顔、特に鼻や目の周りに多く発生します。進行が遅く、早期であれば、ほとんどが転移なしに完治しますが、放っておくと、皮膚の下の骨や臓器を侵すので、やはり早期の診断、治療が大事です。

4)

その他:
強い紫外線が角膜の上皮細胞に壊死を起こす病気に雪目(電気性眼炎) があります。普通は24~48時間ほどで細胞は再生しますが、その間、激しい痛みを伴います。また、網膜の加齢性黄班変性にも紫外線が影響していると考えられています。
日本人の場合は、皮膚のメラニン色素が多く、これが皮膚に浸透する紫外線をある程度カットしてくれますが、強度の日焼けには用心が必要です。



対策
日焼けしてからの手入れでは遅い!
 長時間、屋外で日光を浴びるなど、日焼けの可能性があるときには、特に紫外線対策が必要です。紫外線を防ぐために、以下のことに注意しましょう。
1. 紫外線の強い時間帯((午前10時から午後2時)を避ける。
2. 日陰を利用する。
3. 日傘を使う、帽子をかぶる。
4. 衣服で覆う。
5. サングラスをかける。
6. 日焼け止めを上手に使う(SPF値、PA分類の確認)。
  (紫外線環境保健マニュアル2008:環境省)



注:
SPF(sun protection factor)値
UVB防止効果の指標であり、50までの数値で示され、数値が高いほど、効果が高いとみなされる。
PA分類(protection grade of UVA)
UVA防止効果の指標であり、+、++、+++の3段階があり、PA+の+の数が多いほど効果が高いとみなされる。


情報:オゾン層破壊
オゾン層は、地表から10~50kmの高さを中心に広がり、太陽からくる有害な紫外線(UV-C)から、地球にすむ生き物たちを守る役目をしています。しかし近年、人間が作り出したフロンなどの気体によって、オゾン層が破壊される現象が起こることが分かってきました。その結果UV-Cが地表へ到達する危険性が増大し、UV-Cによる遺伝子DNAの損傷が起こり、皮膚癌の発症率が増大する危険性が指摘されています。



紫外線に関する科学的知見や関連情報は下記から得られます。

◆紫外線保健指導マニュアル(環境省)
http://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_manual.html
◆紫外線情報(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jp/uv/
◆紫外線情報:きょう・あすの予報
http://mws.wni.co.jp/cww/docs/uv/yoho4410.html
◆紫外線.com
一般の方向けに紫外線についてやさしく紹介しています。
http://www.shigaisen.com


☆テッタ博士ってどんな先生?!☆
テッタ博士は岐阜県生まれ。岐阜薬科大学を卒業し、現在は東京薬科大学薬学部の教授をされています。薬学博士であり、主に変異原物質(遺伝子に傷を付ける物質)の研究を行っています。研究や薬学生の教育を行う一方で、小中学生へのくすり教育、薬物乱用防止の授業に取り組んでいます。
このホームページに掲載している教材を開発した先生の一人でもあり、協議会の他、国(行政)や地域、幅広くご活躍されている先生です!


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