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テッタ博士の豆知識

2009年7月10日

連載シリーズ「テッタ博士の豆知識」、今回は、「咽頭結膜熱(プール熱)」です。

 咽頭結膜熱は発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症(結膜炎)であり、数種の血清型のアデノウイルス(アデノウイルス3型(ほかに4、7型など))の感染で起こります。6月頃から徐々に増加しはじめ、7月~8月にピークとなりますが、秋や春にも小規模な流行は起こっています(図1)。プールでの感染が多く見られることから「プール熱」とも呼ばれています。潜伏期間は約1週間で、発病から1週間ほどで症状は軽くなってきます。


(図1) 定点あたりの報告数 
咽頭結膜熱 過去10年との比較グラフ(週報)(感染症情報センター資料)

【感染経路】プールを介した発生の場合、汚染した水から結膜への直接侵入と考えられています。また、タオルを共用したことで感染が拡大したとの報告もあります。
【症状】 発熱

38~40度の高熱が4~7日間続きます。熱はなかなか下がらず、頭痛、食欲不振、全身倦怠感を伴います。

ノドの痛み ノドが赤く腫れ、4~5日間痛みます。咳が出て、扁桃腺炎を伴うことも多くなります。
結膜炎 目が赤く充血し、痛み、目やにが出、目を開けているのがつらくなります。目の症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも現れます。

このほかに頭痛、寒気、食欲不振、吐き気、下痢、鼻水などの一般的なカゼの症状が出ることもあります。
免疫の獲得】 一度ウイルス性結膜炎に感染するとそのウイルスに対する抗体ができて、再びその病気に感染することはありません。ただし、ウイルスには多くの種類があり、種類が異なればまた発症することもあります。
【治療】 特異的治療法はなく、対症療法が中心となります。症状がそれ以上ひどくならないように、炎症を抑える目的や、細菌の混合感染を予防する目的でステロイド薬や抗菌薬入りの点眼剤が用いられます。眼の症状が重い場合には、眼科的治療が必要になることもあります。
【予防】 咽頭結膜熱の通常の感染経路は飛沫感染又は手指を介した接触感染です。以下のことに気を付け、感染予防の徹底に努めましょう。

1)

流行時には、流水と石けんによる手洗い、うがいを励行しましょう。

2)

感染者との密接な接触は避けましょう。
3) タオルなどは別のものを使いましょう。
4) プールからあがった時は、シャワーを浴び、目をしっかり洗い、うがいをしましょう。
 

(厚労省通知:遊泳用プール施設における衛生管理の徹底
・・・pdf87kBにリンクします)





その他のウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎ウイルスが感染することによって起こる結膜炎)には咽頭結膜熱の他に、流行性結膜炎、急性出血性結膜炎があります。いずれも他の人に感染させる力が強く、時に家庭内感染や学校内の集団感染などの原因になります。
流行性角結膜炎
(はやり目)
アデノウイルス8型(ほかに19、37型)という感染力の強いウイルスが原因で、一般に“はやり目”と呼ばれている結膜炎です。ウイルスに感染して1週間前後の潜伏期間を経てから発病します。ほかのウイルス性結膜炎よりも症状は強く、「めやに」や充血、腫れ、痛みも伴います。通常は発病後1週間ぐらいが病状のピークで、その後徐々に改善していきますが、炎症が強い場合には完全に治るまでに数ヶ月かかることもあります。
急性出血性結膜炎 エンテロウイルス70型やコクサッキーウイルスA24型の感染で起こります。潜伏期間が約1日と短く、結膜下出血を起こすのが特徴の結膜炎です。発病後1週間程度で治ります。


ウイルス性結膜炎に罹ったら学校は休みましょう
 感染の危険は、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では発病から約2週間、急性出血性結膜炎では3~4日です。発病から日が浅いほど感染の危険が高くなります。この時期には自宅療養をしてください。
 ウイルス性結膜炎と診断されたら、幼稚園や学校はお休みしなければいけません。眼科の先生に診断書をかいてもらい、よくなったら治ったことを確認していただいて登校しましょう。咽頭結膜熱では、目の症状が消えた後でもふん便中に1ヵ月はウイルスがでているので、この間プールは禁止です。


咽頭結膜熱(プール熱)に関する科学的知見や関連情報は下記から得られます。

◆咽頭結膜熱(感染症情報センター ホームページ)

◆ウイルス性結膜炎(日本眼科医会)

◆ウイルス性結膜炎(日本眼科学会)

◆ウイルス性結膜炎ガイドライン(日本眼科学会)

☆テッタ博士ってどんな先生?!☆
テッタ博士は岐阜県生まれ。岐阜薬科大学を卒業し、現在は東京薬科大学薬学部の教授をされています。薬学博士であり、主に変異原物質(遺伝子に傷を付ける物質)の研究を行っています。研究や薬学生の教育を行う一方で、小中学生へのくすり教育、薬物乱用防止の授業に取り組んでいます。
このホームページに掲載している教材を開発した先生の一人でもあり、協議会の他、国(行政)や地域、幅広くご活躍されている先生です!




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